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[iGEM Japan チーム紹介] GUNMA

本記事は、日本のiGEMチームととして、2019年に群馬大学を主体として誕生した、 iGEM GUNMAチームについて紹介していきます。比較的新しく誕生したチームですが、彼らがどのような活動をおこなっているのか、2年ぶりの参加となるiGEM 2021にはどのようなテーマで挑むのかなどについて、紹介していきます。

1. これまでのiGEM GUNMA

 
「国際的に活躍できるグンマーになりたい!」「最先端の科学の研究をやってみよう!」「群大の魅力を伝えよう!」
 
という初代のメンバーの強い思いから、2019年にiGEM GUNMAチームは創設されました。なので、まだiGEMの歴史が浅いチームです。
 
2019年度のテーマは、「数世代後に「自滅する」大腸菌をつくりたい!」でした。
初参加で銅メダルを見事獲得しました。詳しくは、2019年度wiki をご覧ください。

 
本年度は、医学部と理工学部からメンバーが集まり、新チームを結成しました。医学部と理工学部とではキャンパスが離れているため、コロナ下では特に揃っての活動はとても難しかったですが、オンラインを最大限利用し、これまで継続的に活動に取り組んできました。一方で、医学部と理工学部のそれぞれの得意分野を活かすことができ、混成チームの利点を活かしたいと思っています。


 

2. 今年の目標やプロジェクト紹介


今年度のテーマは、「Breakdown Biofilms in Baths」「温泉施設の厄介者、バイオフィルムを分解する」です。
地域に根付いたものにしようと試行錯誤を重ねた結果、温泉大国・群馬県ならではのアイディアに辿り着きました!

 
群馬県には、草津温泉に代表される有名な温泉地がたくさんあります。温泉地の宿泊施設などには、温泉を安全に楽しむために温泉用の浴場施設が必要です。施設の種類は大きく掛け流し式と循環式の2つに分けられ、このうち循環式は限りある温泉資源を節約するために使われています。しかし、循環の過程で、ろ過器にレジオネラ菌などの人にとって有害な細菌が繁殖することがあります。レジオネラ菌は人が体内に取り込むと時に重い肺炎などを引き起こし、これまで何度もレジオネラ菌による温泉施設での集団感染が報告されています。対策として、循環式では塩素系薬剤などが投入されていますが、このように繁殖した細菌は簡単には死にません。


なぜなら、ろ過器に付いた細菌達はヌルヌルした「バイオフィルム」という集合体を形成することで、薬剤の細胞への浸透を防ぎ、身を守るためです。

私たちはこのバイオフィルムを酵素を使って分解することで、薬剤の効果を高め,温泉でのレジオネラ菌による被害を少しでも減らしたいと考えています。また、薬剤の効果が高まれば薬剤の使用頻度が下がり、対策費用の削減や労働時間の短縮などのシナジー効果が期待されます。
 
具体的には、以下のような実験を行います。
バイオフィルムの成分は、ほとんどが高分子の糖(菌体外多糖、Exopolysaccharides: EPS)で細菌が作りだしています。

この多糖を分解できる酵素が、糖鎖分解酵素で、本来は細胞内の生化学反応に関連しています。例えば、β-ガラクトシダーゼ(β-galactosidase)は、ラクトース(乳糖)をグルコース(ブドウ糖)とガラクトースの2つに分解し、解糖系で利用できるようにしています。

この糖鎖分解酵素を大腸菌を使って発現し分泌させることで、バイオフィルムを分解することが目標です。
 
以下、将来展望です。
温泉だけでなく、医療現場においてもバイオフィルムは「厄介者」です。たとえば、医療用カテーテル、人工心臓弁、人工関節などの医療材料上にバイオフィルムが形成され、難治性の慢性感染症を起こし問題となっています。また、歯垢(プラーク、微生物の塊)が口の中に長時間留まって膜のようになったものは、バイオフィルムそのものです。こうなると、通常の歯磨きでは落とせません。最近は、歯周病や虫歯の原因にとどまらず、誤嚥性肺炎や糖尿病などにも影響を与えることがわかってきました。

私たちは、このようなバイオフィルムに対しても、糖鎖分解酵素が有効と考え、応用・展開を考えています。
 
 


 

3. リーダーからひとこと

 
iGEMでは、合成生物学や英語など、色々な力が鍛えられます。一見難しく感じてしまうかもしれないですが、実験や他チームとの協力など色々な経験ができます!
少しでもiGEMに興味を持って貰えると嬉しいです。(リーダー 足羽より)
 
 

4. HP、 SNSへのリンク等 問い合わせ先

 
お問い合わせは、HPのお問い合わせ、またはtwitterからお願いします。
 
iGEM GUNMAについてもっと知りたい!という方は、当チームHPをご覧ください。
また、twitterでは日頃の活動や研究について随時情報発信しています。
 
・iGEM GUNMA HP https://sites.google.com/gunma-u.ac.jp/igem-gunma
・iGEM GUNMA twitter @iGEM_Gunma 

また、活動への支援もよろしくお願いいたします。
・銀行口座へのお振り込みの寄付はこちら から
・クレジットカードでの寄付はこちら から
(※2021年6月 時点の情報)

まとめ

皆さん、GUNMAチームの魅力は知っていただけましたでしょうか?

引き続き、彼らの今後の活躍に注目していきたいと思います。
彼らの活動を応援したい・一緒に何かをやりたいと思った方は、彼らのHPやSNSをフォローしたり、コンタクトをとってみましょう。

本記事は、日本に存在するiGEMチームについて紹介していくシリーズの1記事になっております。日本には、他にも多くの魅力的なiGEMチームがたくさん存在しますので、他のチームについてもぜひご覧いただけるとうれしいです。

また、過去のGUNMAチームが残してきた歴史等について興味を持たれた方は、iGEM Japanの過去の歴史をご覧ください。

[ iGEM Japan の歴史 ① ] 2006年 ~ 2010年
[ iGEM Japan の歴史 ② ] 2011年 ~ 2015年
[ iGEM Japan の歴史 ③ ] 2016年 ~ 2020年


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